福島県南会津町、高野。
この土地の森には、クロモジが自生しています。
林の中を歩いていると、足元や斜面に、しなやかに枝を伸ばす姿を見ることができます。
特別に目立つ木ではありませんが、この森の中では、ごく自然に存在している植物のひとつです。
もし今、森の中でこのページを読んでいるなら、目の前のクロモジに少し意識を向けてみてください。
細い枝をそっと折る、あるいは軽くこすってみる。
その瞬間に立ち上がる、やわらかく澄んだ香り。
クロモジは、枝を折るだけでもそれと分かるほど、はっきりとした良い香りを持っています。
強さではなく、すっと広がるような感覚。
香りをゆっくり吸い込むと、呼吸が自然と深くなっていくのを感じるかもしれません。
クロモジとは
クロモジは、日本の山地に自生する落葉低木で、古くから枝や木部が利用されてきました。
和菓子に添えられる楊枝としても知られていますが、それは見た目のためだけではなく、
香りや抗菌性を活かした使い方でもありました。
また、しなやかで折れにくい枝は、かんじきの枠として使われてきたとも言われています。
目立たない存在でありながら、暮らしの中で役割を持ってきた植物です。
クロモジの働き
クロモジは、香りによって心身に働きかける植物です。
やわらかく、透明感のある香りは、気持ちの緊張をゆるめ、呼吸を整えるとされています。
また、古くから抗菌性があるとされ、清潔を保つための素材としても使われてきました。
強く刺激するのではなく、静かに整えていく。
それがクロモジの特徴です。
暮らしの中での使われ方
クロモジは、日常の中で自然に使われてきた植物でもあります。
たとえば、山仕事をする人たちの間では、昼食の後にクロモジの枝を噛み、歯磨きの代わりとして使われていたとも言われています。
口の中をさっぱりとさせる香りと、清潔を保つための働き。
特別な道具がなくても、身近な植物で整えるという知恵が、そこにあります。
クロモジの働き
クロモジは、香りと成分の両面から働きかける植物です。
古くから抗菌作用があるとされ、衛生を保つための素材としても利用されてきました。
また近年では、インフルエンザなどへの予防的な観点からも注目されるなど、その機能性が改めて見直されています。
やわらかく、透明感のある香りは、気持ちの緊張をゆるめ、呼吸を整えるとされています。
強く刺激するのではなく、静かに整えていく。
それがクロモジの特徴です。

高野のクロモジ
高野の森に自生するクロモジは、この土地の環境の中で育っています。
寒暖差のある気候、豊かな水、静かな森。
その中で育つことで、澄んだ香りを持つようになります。
人の手を加えすぎず、自然の状態に近いまま存在していること。
それが、この植物の価値でもあります。
日常の中で整える
森の中で感じた空気や香りは、日常の中ではなかなか得られないものです。
だからこそ、そうした感覚を少しでも思い出すことが大切です。
深く呼吸をすること。
少し立ち止まること。
クロモジは、そのきっかけになる植物です。

